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【伝説の問題】大阪大学の自由英作文
- 06_受験関連,新テスト,英語,08_東京大学
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2026年の大阪大学で出題された自由英作文の問題が、話題になっています。
その問題が「あなたは人として最も恥ずべき行為とは何だと思いますか。」
さて、みなさんならどう答えますか?
「模範解答」ではなく、この問題が伝説になるであろうというお話をしたいと思います。
ので、「模範解答」を期待されている方には、ごめんなさいではあるのですが、
解き方のコツについて、書いていきますので、ご容赦ください。
【英作文で問われる「会話力」】
大阪大学の自由英作文の問題は、昔からちょっと「面白い」問題が多く、いわゆる「受験生」泣かせでした。
古くて恐縮ですが、印象に残っている問題を挙げると、
「もし、ボランティア活動をするとしたら、あなたはどのようなことをしたいか」(2001年度)
「あなたが億万長者で、何か新しい賞のための基金を設けようと考えたとする。どのような人やどのような功績に対して賞を与えたいか」(2004年度)
「もしも、日本の祝日をもう1日新たに増やすとすれば、どのような祝日を、いつ、なぜもうけたいか」(1993年度)
などなど。
どの問題も、「模範解答」を知りたい受験生からすると、あまりにも漠然とした「難問」です。
一方で、これらの問題に「どこが難しいの?」と思われた方も多くいらっしゃるでしょう。
当塾ではよくお話をするのですが、実はこれ、「英作文」というより、むしろ「英会話」寄りの問題なのです。
平たく言えば、
「当大学を受験する高校生のあなたは、きっと友人とこんな話をしたことありますよね。
海外の友人に対して、英語でそんな会話をしてみてくださいな」
が出題の趣旨です。
「模範解答」とか「正解」の答えがあるわけではなく、自分の考えを英語で説明する力が必要となってきます。
なので、自分の考えについて喋ることに慣れた人にとっては、そんなに難しいとは感じられませんし、
もしかすると、今の英検を受けたことのある中学生の方が素直に解けるかもしれません。
しかし「受験勉強」で、「模範解答」を探ることに慣れてしまい
「何が良い答えか」を考え始めてしまうと、
「何を書いたら良いか」が見えなくなってしまうのです。
「受験生」にとっては、もう一つ問題点があるのですが、それについては、解き方のコツのところで、改めてお話しましょう。
さて、実は、京都大学の和文英訳の問題も、趣旨はこれと似ています。
それなりの長さの、ちょっと難しい文章を英訳させるわけですが、
「当大学を受験する高校生のあなたは、これくらいのレベルの会話は出来ますよね。
海外の友人に対して、英語でそんな会話をしてみてくださいな」
というのが出題の意図です。
正確に一言一句訳すことよりも、「通じる英語」に意訳することが求められているのです。
つまり、両大学の英語の試験には「英会話」こそありませんが、こういった形で、「会話力」が問われていたのです。
【伝説のはじまり】
以上を踏まえて、2026年(2025年度)の問題です。
「あなたは人として最も恥ずべき行為とは何だと思いますか。
そう考える理由と共に、80語程度の英語で述べなさい。」
これが伝説の問題になるだろうと思う理由は、今までの問題から、さらに踏み込んでいると感じられるからです。
「アクティブ・ラーニング」「主体的な学び」が言われるようになり、高校でもそういった授業が増えました。
友人たちとディスカッションをして、意見を交わし、自分自身の考えを深める。
成長の過程にある高校生にとって、本当に大切な時間です。
しかし、この「成長」をどうすれば問えるのか。
そうです。
この問題は、まさにこの「成長」を見たいがゆえの「問い」なのです。
正解のない問題に、自分なりに考え、答えを出すこと。
それを英語で表現すること。
これまでの伝統の上に、新しい視点を加えた、素晴らしい良問だと思います。
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2016年に刊行されたこの本の中で、アクティブ・ラーニングによって、自らの思考を深める重要性、正解のない問題に対する思考力をどう身につけるか、といった話が書かれていました。
読んだ当時は、こういった問題を出す大学・学部はまだ限られていましたし、例えば医学部の推薦枠で出される問題として「いかに志望動機と結びつけるか」というような「正解」の出し方も言われたりしていました。
そういう意味では、まだまだ問う側も、問い方を模索していた時期だったと言えるのだと思います。
だからこそ、この問いが、一般の「英語」の問題で出されたということに、時代の変化を感じますし、
今後、このような形で、「成長」を見る問題が増えていくだろうと予測できます。
それは「英語」の試験だけで出されるとは限りません。
「総合」を冠した「歴史」「地理」で、戦争を止める方法が問われるかもしれません。
「理科」で倫理を問われる問題が出ても不思議ではありません。
実際、今回の問題が「国語」で出ていたとしても、受験生はみんな頭を抱えたことでしょう。
様々な大学で、様々な形で「成長」を問う問題は増えていくと思います。
だからこそ、上を目指す高校生は、良く学び、良く遊び、良い友人関係を築いて、時にこんなディスカッションを真剣にする、楽しい学校生活を送らなければなりません。
自分の意見は、他人の意見とぶつけ合うことで、より磨かれます。
しかし、本番の入試問題を解く時には、自分一人で問題に向かい合うしかありません。
どんな問題が、どのような形で出たとしても、真摯に自分の意見と向かい合い、表現する、その「地頭」ならぬ「地力」をつけること。
学問的な知識+αが問われる時代の訪れを告げた問題と言っても良いのではないでしょうか。
【受験生と英作文】
最初の方で、「模範解答」を探ることに慣れてしまい
「何が良い答えか」を考え始めてしまうと、
「何を書いたら良いか」が見えなくなる、というお話をしました。
これに対する対処法が、「学生生活を真剣に楽しんで、自分の意見を培うこと」なのです。
「受験生」にとっては、もう一つ問題点があるとも書きました。
それが何かというと、「優秀な高校生は、かっこつけたがる」です。
高校生、特に京大や阪大を目指すクラスの高校生は、難しい語彙を使えるようになり、レベルの高い英単語も覚えていきます。
難しい問題に直面しても、しっかりとした答えを出すことが出来るようにもなっています。
そうすると、どうしても、日本語の難しい言葉を、そのまま英語に訳そうとしてしまいがちになってしまうのです。
京都大学の和文英訳の問題がまさにそれで、難しい語彙を使った日本語が出てきます。
2009年度の英訳問題に、こんな一節があります(これも古い問題で恐縮ですが)
「人間関係における一種の潤滑油としてのユーモアの効用については、もっと認識されて良いのではないだろうか」
もちろん、知っていれば、「直訳」しても構いませんが、
潤滑油?効用? なんて単語を知らなくても解くことが出来ます。
先に言いましたが、この出題の意図は
「当大学を受験する高校生のあなたは、これくらいのレベルの会話は出来ますよね。
海外の友人に対して、英語でそんな会話をしてみてくださいな」
ということ。
正確に一言一句訳すことよりも、「通じる英語」に意訳することが求められているのです。
例えば、こんな「日本語」でどうでしょう?
「ユーモアが人間関係を良くするということを、もっとみんな知るべきだ。」
元の文章の意図、かなり拾えてるのではないでしょうか。
これなら、京大や阪大を目指すクラスの高校生なら十分に英訳できるレベルですよね。
阪大の自由英作文でも、実は同じです。
豊富な日本語の語彙で練られた文章は、その高い日本語レベルと同程度の英語力がない限り、英語に訳せません。
「優秀な高校生は、かっこつけたがる」とは、そういう意味です。
「就寝中と起床時の自己同一性? 自己同一性…英語で何と言ったか、思い出せない」となってしまう前に、
小学生に説明するつもりで文章を作り直しましょう。
「私は、寝ている時も、起きている時も、ずっと私なのです。」
もっと簡単にしましょう。
「起きていても、寝ていても、私は私です。」
そう。
最初から、小学生に説明するつもりで「作文」すれば良いのです。
全部シンプルにする必要はありません。
知っている単語も熟語も構文も、必要に応じて使えば良い。
でも、これを意識するだけで、英作文のハードルがぐっと下がります。
【伝説の問題に挑戦!】
「あなたは人として最も恥ずべき行為とは何だと思いますか。
そう考える理由と共に、80語程度の英語で述べなさい。」
この問題、きっと阪大受験生の間で、「あなたはどう答えたか?」が話題になる問題です。
いや、受験生の間ではタブー視されて、合格者の間で話題になる、かな?
少なくとも、気の置けない友人や家族に「あなたならどう答える?」を聞きたくなるでしょう。
これはあくまで「英作文」であって、どんな答えでも間違いではありません。
理由と根拠を論理的に説明できるのであれば。
例えば、
「信頼を裏切る」「ウソをつく」「弱者を虐げる」「権力を振りかざす」「他者への無関心」
なんて考えてみましたが、みなさんの答えはいかがでしょう。
受験生的には、自分なりの「答え」を出すことが出来れば、次はその理由付けです。
例年の問題であれば、理由を3つくらい書けば、70語くらいになるし、説得力も増す、と説明していますが、
今回の場合、根拠となったようなエピソードを入れるという方法も使えます。
「<信頼を裏切る>ことは、人として最も良くない。
私は昔、<信頼>していた人に【こんなふうに】<裏切られた>ことがある。
その時、私はとても悲しくつらい気持ちになった。
だから私は、<信頼を裏切る>人を許せないと思うようになったし、
自分自身、友人たちからの<信頼を裏切ら>ないようにしようと思うようになった」
<>の部分を自分の言葉に差し替えて、
【】に具体的なエピソードを入れたら、
文章の骨格はほぼ完成です。
最初に言ったように、模範解答は書きませんが、これでだいぶ書きやすくなったのではないでしょうか。
あとは実際に英語で書いてみるのが大切です。
この試験に挑戦したすべての受験生にとっても、これから受験の荒波に立ち向かう学生諸氏にとっても、このお話が少しでも役に立ち、皆様にとって喜ばしいニュースが届きますように。
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