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【妖怪の科学】驚異と怪異@兵庫県立歴史博物館

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東大卒講師が勉強のノウハウを楽しく教える、兵庫県の共明塾です。

行きそこなってしまったのですが、兵庫県立歴史博物館にて「驚異と怪異〜モンスターたちは告げる〜」という展覧会が行われていました(2020年6月23日〜8月16日)

最近話題のアマビエの絵から、「人魚」や「件(くだん)」、「ろくろ首」のミイラまで、これを逃すわけにはいかないと思わせるラインナップ。

なにしろ、歴博には、京極夏彦先生の小説にも登場する香川学芸員がいらっしゃるので、楽しみにしていたのです。

(作中、守備範囲の広い知識をお持ちで真面目な香川学芸員も大活躍!)

夏休みの自由研究に、という話も出来るかと思っていたんですがねぇ…。

しかし、歴博のページに「特別展「驚異と怪異」図録及びグッズの通信販売のご案内」のバナーが!

グッズはぐっと我慢して、国立民族学博物館驚異と怪異 想像界の生きものたち」の公式図録
兵庫県立歴史博物館「特別展 驚異と怪異−モンスターたちは告げる−」の公式パンフレットを購入しました。

(※通常の購入も可能です)

そう、国立民族学博物館の「驚異と怪異」も行きたかったのですよ。

巡回展ではありますが、歴博の展示は「妖怪」寄りで、民博の展示は「民俗学」寄りな気がします。

それにしても、人間の想像の翼は、どこまで広がるものなのでしょうか。

展覧会に行って、図録を買っても、文章のところはナナメ読みすることが多いですが、
今回は、展覧会に行けなかった分、じっくり拝読させて頂きました。

思ったことの一つ目は、知らない国の、知らない生物の話を聞いたときに、我々はどこまでそれを信じることが出来るか、ということ。

お腹に袋があって、子どもをその中に入れ、両足でジャンプして移動する、人間くらいの大きさの生き物」や
首の長さだけで人の身長くらいある、背が高く、角が三本ある生物」なんて、想像上の生き物なのか、実在するのか、判断できませんし、
それらしい骨や写真を見せられたら、「知らない国にはそんな生物もいるのか」と信じてしまいます。

しかも、それが伝統や文化と結びついて語られるとき、そういう生き物、存在について、
そのものでなくても、少なくともそれに類する「何か」の実在を反映していると考えるのが妥当と思われます。

二つ目は、「怪異」の存在を受容する我々の柔軟性についてです。

現在、コロナの流行に合わせるように、「アマビエ」がクローズアップされていますが、
アマビエ」と同様の「我が絵姿を厄除けにすべし」という伝承は日本だけでもいくつかあるそうです。

「昔の人はそんな存在を信じていたのか」という見方も出来なくもないのですが、
翻って現在を考えると、後世になって「アマビエ信仰があった」としか思えない流行ぶりではあります。
でも、一方で、「アマビエ」の実在を本気で信じている人はそんなにいないでしょう。

もしかすると、昔の人たちも、今の私たちと同じように、「まぁ、なんとなくご利益ありそうだし。」くらいの軽い気持ちだったのかもしれません。

そう思うと、なんとなく、過去に対する親近感が湧いてきませんか?

ちなみに、下記の「アマビエ」の原本は京都大学の所有ですが、今回、歴博に展示されていたのです!


『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
Photograph courtesy of the Main Library, Kyoto University Amabie』

交渉は、コロナの話の前に出来ているはずですから、先見の明があるラインナップだったと言えるでしょう。

さて、「妖怪と科学」という視点から言えば、各国における様々な「伝承」「意匠」を比較し、
民俗学」という光を当てることで、それぞれの国での様々な「驚異」の秘密に迫ることが出来ます。

もしかすると、その動物が、人間にとって脅威だったのかも知れません。
もしかすると、ある現象が、その動物の仕業と考えられていたのかも知れません。

何か一つの答えが定まるわけではないにせよ、可能性について論じることは出来るはずですし、
ある儀礼が今でも続いている、その意味や意義について、知見を拡げることが出来るはずです。

伝統や文化には、それぞれの時代の、何らかの知恵や知見が詰まっています。
それを読み解く、というのも立派な学問です。

キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、
生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

「妖怪」について勉強する機会は、残念ながら通常カリキュラムにはありませんが、
自由研究で、何か妖怪を作ってみたい、妖怪を造形してみたい、ということであれば、お手伝いいたします。

(こんな本もあります)

こういった経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。

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