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【日の出時刻の謎】「冬至の日の出」と「初日の出」ではどちらが早い?

    03_自由研究,理科
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2023年1月1日
兵庫県における「日の出時刻」は、7:06。
今年も写真を撮りに行ってきました。

「冬至」を境に、昼の時間は長くなっていきます。
となると、「日の出時刻」は「冬至」より早くなるはず。

ところが、「冬至」の「日の出時刻」は、7:03。
あれ? 「冬至」の方が、「日の出時刻」が早い?

国立天文台 暦計算室 NAOJさんのページを見ながら、この謎を解き明かしていきましょう。


【「初日の出」と「冬至」の日の出時刻】




2023年1月1日
兵庫県における「日の出時刻」は、7:06。
今年も写真を撮りに行ってきました。

さて、各地の「日の出時刻」については、国立天文台 暦計算室 NAOJ
で調べることが出来ます。

昼の時間が一番短いのは「冬至」です。
今回の「冬至」は、2022年12月22日。
この日を境に、昼の時間はだんだんと長くなっていきます。

となると、「冬至」の「日の出」より、新年の「日の出」の方が早くなりそうなものですが...
「各地のこよみ」のデータから、2022年12月の「冬至」前後の「日の出」「日の入り」と、その差である「昼の時間」を見てみましょう。

南中 入り 時間
20 7:02 11:57 16:52 9:50
21 7:02 11:57 16:52 9:50
22 7:03 11:58 16:53 9:50
23 7:03 11:58 16:53 9:50
24 7:04 11:59 16:54 9:50
25 7:04 11:59 16:54 9:50

一方で、2023年1月のデータを見ると、

南中 入り 時間
1 7:06 12:03 16:59 9:53
2 7:06 12:03 17:00 9:54
3 7:07 12:03 17:00 9:53
4 7:07 12:04 17:01 9:54
5 7:07 12:04 17:02 9:55
: : : : :
10 7:07 12:07 17:06 9:59
20 7:05 12:10 17:16 10:11
30 6:59 12:12 17:26 10:27


「初日の出」の方が、冬至の「日の出」より、時間が遅くなっています。
一方で、「日の入り」が遅くなるので、「昼の時間」は少し長くなっていますね。

それでも、単に毎日長くなるのではなく、1月2日より3日の方が短くなっています。
また、12月の22日前後の「昼の時間」を見ると、ほぼ同じ日が続いています。


これについても、国立天文台暦計算室 (nao.ac.jp)さんの
に説明があります。

説明を省いて、結果だけ引用コピーさせて頂くと、

季節 南中高度の変化 南中時刻の変化 あわせた変化
高度 時刻
春分 高くなる 日の出は早くなる 日の出は早くなる 日の出がどんどん早くなる
日の入りは遅くなる 日の入りは早くなる
夏至 最も高い 日の出は最も早い 日の出は遅くなる 日の出が最も早くなるのは夏至の前
日の入りは最も遅い 日の入りは遅くなる 日の入りが最も遅くなるのは夏至の後
秋分 低くなる 日の出は遅くなる 日の出は早くなる
日の入りは早くなる 日の入りは早くなる 日の入りがどんどん早くなる
冬至 最も低い 日の出は最も遅い 日の出は遅くなる 日の出が最も遅くなるのは冬至の後
日の入りは最も早い 日の入りは遅くなる 日の入りが最も早くなるのは冬至の前

「夏至」も「冬至」も、日の出/日の入りがそれぞれ一番早い/遅い日というわけではない、ということです。

その理由を平たく言えば、「南中時刻がずれるから」です。

私自身も日時計などでの説明で、「明石の真南に太陽が来たら12時ちょうどで、これを南中といいます」と説明していますが、実はこの「南中時刻」、日々微妙に変化しているのです。


「南中時刻」がずれると、「日の出」「日の入り」の時刻も、同時にずれてしまいます。
この結果、「冬至」当日の「日の出」「日の入り」の時刻が、「最も遅い/早い」にならなくなってしまうのです。

「時間」の真ん中がずれるから、「時間」の端(日の出/日の入り時刻)もずれてしまうため、実際の太陽の動きと「時間」の関係が、一見するとおかしくなってしまうのですね。

「わかりやすい説明」をする時、先ほどの私の「南中」の説明のように、単純化した上で話を進めてしまうことがありますが、その過程で抜け落ちてしまう情報があります。
今回で言えば、南中時刻がずれる、というお話です。

これが抜け落ちてしまった結果、あれ?と思うようなこと、今回で言えば、「冬至よりも初日の出の方が日の出時刻が遅い」という現象が起こってしまったうわけです。

難しい話ではありますが、根っこのところが分かると、なるほど、と思えますね。
実際に、こういった問題を考え、解き明かした先人たちがいるからこそ、今の「こよみ」が成り立っているのです。

キッズアース播磨町校では、こういった問題を考え、取組める子になってほしいなと思いながら、生徒さんたちと向き合っています。
「好奇心」こそが、「学び」の原動力。

学ぶ楽しさをもっともっとお伝えしていければと思います。



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