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【タック先生と秘密の書棚】水無月:梅雨と随筆
- 国語,07_おすすめ本・映画
SDGsアドバイザーが講師をつとめる、兵庫県の理科実験教室、キッズアース播磨町校です。
東大卒講師が勉強のノウハウを楽しく教える、播磨町の共明塾です。神戸、加古川、明石、高砂からも是非お越しください。
兵庫県加古郡播磨町、播磨町駅を南に出れば町立図書館がありますが、
北に出て、「お茶の千宗 (sensou-harima.net)」さんの前を通り、「喜多亭 」の裏にまわった路地の先、
ニューハリマ図書室 が、ひっそりとたたずんでいます。
ここは、本好きな人たちが、それぞれ「本棚オーナー」となって、自分の本を置いている、少し不思議なセレクト図書館。
当塾の代表講師も「タック先生の秘密の書棚」と題して、月替わりで様々な本を置いています。
6月のテーマは「梅雨と随筆」。
「晴耕雨読」の言葉通り、雨の日こそ、読書を楽しみたいものです。
難しいことを考えずに、さらりと読める随筆などいかがでしょうか。
【古典セレクション】
まずは日本3大随筆『枕草子』『方丈記』『徒然草』から。
と言いつつ、『枕草子』関連の本はたくさんあるのですが、
『方丈記』関連の本があまりないことに気付きました…。
今回のセレクションは、
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なお、高校生の頃、古典の面白さに気付かせてくれたのが、こちら。
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と言いながら、『枕草子』も『徒然草』も、中学生や高校生で読むより、大人になって読む方が断然面白い作品です。
さて、明治大正期の随筆も並べてみましょう。
『氷川清話』は、幕末の真の英雄、勝海舟先生の語り下ろし随筆集。
『陶庵随筆』は、西園寺公望氏の随筆集。
いわゆる教科書とは違う「歴史」を学ぶことが出来ます。
そして、随筆と言えば!
言わずと知れた内田百閒先生!
文章・語り口なのか、語られる内容なのか、何が面白いのか分からないくらい、面白い。
『百鬼園随筆』はもちろん、鉄分(電車のお話)多めの『阿房列車』『第二阿房列車』、ネコ好きには共感しかない『ノラや』等々、たくさんの随筆作品が出ていますので、どれでも是非手に取ってみて下さい。
なお、内田百閒先生は幻想小説家としても有名とのことなのですが、私はまだそういった作品を読んだことはないのでございます。
ちょっと変わったところだと、黒澤明監督の遺作となった映画『まあだだよ』のモデルでもあります。
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中谷宇吉郎先生は、世界で初めて「人工雪の結晶」を作った、神様のような科学者。
夏目漱石先生の薫陶を受けた物理学者寺田寅彦氏の弟子でもあります。
その語り口は軽妙洒脱でありながら、とても理性的で知性的。
「雪は天からの手紙」なんて表現できる科学者が、どれほどいるでしょう。
また「地球が丸い話」は、何度読んでも、ため息しか出ないくらいの「完璧な説明」で、何回も引用させて頂いています。
ご出身の石川県には、こんな科学館もあります。
是非、行ってみたい美術館の一つです。
薄田泣菫は、高校生の頃に文学史の中で「『白羊宮』の詩人」として覚えました。
大学生になって、大学生協でたまたま見かけたのが、『茶話』。
古今東西の様々な話題が、面白く分かりやすく紹介されていて、その博覧強記にも文章力にも圧倒されました。
『艸木虫魚』はその続編。
知識にしても、語り口にしても、こんな文章を書けるようになりたいと思いますね。
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でも、まだ『白羊宮』は読んだことないんですよね...。
しかし、文学史で『白羊宮』を教える先生のうち、どれだけの先生が『白羊宮』を実際に呼んだことがあるのだろう、と思ったりします。
【現代の随筆】
「国語」という学問は、単なる知識だけではなく、日本語の、そして様々な作家の面白さを伝える学問であって欲しいと思うのです。
面白い作家さんはたくさんいらっしゃいますし、その中には、自分の「リズム」や「感性」にあった作家さんがきっといらっしゃるはずです。
その一例として、私の好きな作家さんをご紹介したいと思います。
まずは、お天気博士の倉嶋厚先生。
私が小学生の頃、お天気欄に毎朝(!)、天気にまつわるショートエッセイを書かれていました。
それをまとめたのがこの『お天気博士の気象ノート』。
一つ一つのお話が面白く、とても勉強になるエッセイ集です。
そして、林望先生(リンボウ先生)。
今回はデビュー作『イギリスはおいしい』を選びました。
エッセイの面白さ、巧みさもさることながら、先生は古典への造詣も深く、先生訳の『土佐日記』、能のお話、平家物語や恋の話など、古典についての本にもお世話になりました。
今回紹介した『うふふ枕草子』も先生の作品ですね。
出久根先生は古書店店主。
本に関する様々な知識に基づいた、面白いエッセイを書かれています。
土屋賢二先生の作品は、思わず抱腹絶倒してしまう、言葉遊びに満ちています。
思わず真似をしたくなる「文才」としか言いようのない文体で綴られるエッセイは、
本当に、何でこんな面白い文章が書けるのだろうと思うのですが、
土屋先生は、お茶の水女子大学で長年「哲学」を教えてきた大学教授。
「哲学」といういわば「お堅い」職業から生み出される、「柔らかい」文章。
このギャップがすごいですね。
森見登美彦先生は、小説家として何度も紹介していますが、
文体と発想の面白さがクセになる作家さんです。
どの小説もおススメですが、ファンとしてはこういったエッセイも楽しみですね。
【その他の作品】
さらに、本棚から、知的刺激強めの本にも登場してもらいました。
最後の『じょうずなワニのつかまえ方』は、本当に役に立たない知識を集めた、本当に役に立たない本(笑)
結構、本気で褒めています。
世の中、いわゆるハウツー本だったり、自己啓発本があふれていますが、
「読書」の面白さは、そういう功利主義とは違うところにあると思うのです。
「ミイラの作り方」と「バタフライの泳ぎ方」「ハーブの種類」そして「じょうずなワニのつかまえ方」が並んで載っている本なんて、なかなかありません。
今回ご紹介した本は、どれも、「すぐに役に立つ知識」なんて得られません。
でも、だからこそ、純粋に、「本を読む楽しさ」「知見を得られる楽しさ」を感じることが出来る本だと思います。
よろしければ、手に取って読んでみられてはいかがでしょうか。
- 森見登美彦,読解力,読書,本,林望,梅雨前線
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