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【6月10日】時の記念日と漏刻(ろうこく)
- 03_自由研究,理科
兵庫県の理科実験教室、キッズアース播磨町校です。
明石市では、時の記念日にあわせて、その前後を「時のウィーク」として、様々なイベントを行っています。
6月10日は「時の記念日」です。
「時の記念日」は1920年に提唱されましたが、その典拠となったのは『日本書紀』。
少し「時」を遡ってみましょう。
【「漏刻」って何?】
「漏刻」は「水時計」とも言われ、日時計と並んで昔からある、時を計る道具の一つです。
中国では漢の時代(紀元前206年 - 220年)から時刻の記録などに「漏刻」が使われていました。
明石市立天文科学館 (am12.jp)の入口でその姿を見ることが出来ます。
また、国立天文台さんのページには、「漏刻」を描いた資料が載っています。
下の箱に水が貯まるに従って、一番下の箱に挿してある棒が上がり、その目盛りの時刻を読み取ることで時間が分かる、という仕組みです。
しかし、流れる水を入れるのであれば、スピードを一定に保つことは出来ませんし、3段階の水槽を用意する必要もないはずです。
実は、ここに、「サイフォンの原理」が応用されているのです。
明石市立天文科学館さんで撮った写真をよく見てください。
下の段に向かう水の管が、少し持ち上がっているのが分かりますか?
水が上がってから下に落ちる。
下の動画と同じ現象が起きています。
この水が吸い上げられるスピードは、管の太さや、管を持ち上げる高さ、残っている水の量などによって変わりますが、不安定である流水と比べると、一定のスピードを保つことが出来ます。
また3段、4段とすることで、一番上の水さえ切らさなければ、スピードは安定し、正確な「時」を刻むことが出来るようになるのです。
【天智天皇と漏刻】
さて、舞台を日本に移し、「時の記念日」について見てみましょう。
『日本書紀』に、「漏刻」について
斉明天皇6年(660)5月「有皇太子初造漏剋。使民知時。」(この「皇太子」は、中大兄皇子、後の天智天皇)
→ 皇太子が初めて漏刻を作って、みんなに時間をお知らせになった。
天智天皇10年(671)4月(25)「置漏剋於新臺。始打候時。動鍾鼓。始用漏剋。此漏剋者天皇為皇太子時、始親所製造也。云々。」
→漏刻を新しい台において、時間を知らせ、鐘を打つようにし、漏刻を使い始めた。
この漏刻は、天皇が皇太子の時に自ら作られたものである。
との記述があります。
中大兄皇子(天智天皇)と言えば、645年の「大化の改新」です。
これは、「豪族」が中心の政治から「天皇」中心の政治へという、いわば中央集権を目指したものでした。
そのお手本としたのが中国(当時の唐)であり、中大兄皇子(天智天皇)自身が漏刻を作り、それを時報に活用したというのは、いわゆる「度量衡統一」の一環だったと考えることが出来るでしょう。
奈良にある飛鳥水落遺跡は、この最初の漏刻が置かれていたとされており、この遺跡全体が迎賓館としても使われていたと考えられているそうです。
飛鳥資料館には、この漏刻の原寸大復元模型もあるそうですよ。
ここでも漏刻を見ることができます。
奈良も近江も、是非行ってみたいですね。
さて、この『日本書紀』に書かれた記述を現在の暦に変換すると、6月10日になります。
1920年に東京教育博物館が開いた「時」の展覧会の中で、広く時間の大切さを知らせるためにと、この日が「時の記念日」に定められました。
明石市立天文科学館 (am12.jp)さんの開館は1960年の6月10日。
6月10日は「時の記念日」であると同時に開館記念日でもあるのです。
2020年は、時の記念日制定100年、明石市立天文科学館開館60年、明石市制100周年という節目の年だったのですが…。
コロナの影響では仕方ないですね…。
参考ページ
【「漏刻」を作ろう!】
さて、多摩六都科学館 (tamarokuto.or.jp)さんのページで、
時の記念日100周年企画として、「漏刻」をコップとストローで作るという実験が紹介されていました。
この漏刻の実験工作、とても面白いので、是非キッズアース播磨町校でもチャレンジしてみたいと思います!
【明石「時」のウィーク】
明石・時感動推進会議 子午線のまち明石から「時のウィーク」 (akashi-tokikando.com)
しかし、残念ながら、2021年も中止となってしまいました。
しかし、残念ながら、2021年も中止となってしまいました。
かわりに、ではないですが、明石市立天文科学館 (am12.jp)さんが、時の記念日に合わせた特別配信企画を行ってくださっています。
ライブ配信こそ終わっていますが、アーカイブで見ることが出来ますので、是非見てみてくださいね!
- 60周年記念,国立天文台,時間,奈良時代,不定時法,明石,明石市立天文科学館
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